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2003年6月 1日 (日)

トンネルを抜けると・・・・

新潟日報(01.05.18)「晴雨計」というコラムに書いたものです。
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「トンネルを抜けると雪国ではなかった」 川端康成の小説とは逆に「トンネルを抜けると今までの雪景色がまるで嘘のような乾いた茶色の山肌と一面の落葉だった。」というのが私が18歳で上京した日の感想だ。

私は浜浦小学校と関屋中学校へ通ったのだが両校ともすぐ裏が海という環境にあり冬は日本海からの横殴りの雨あられに絶えて学校まで歩かなければならなかった。

山沿いに降る雪ならば水気も少なく防寒具に附いても掃えばさっと落ちるが海沿いの雪はたちが悪い。学校に着く頃にはびしょ濡れで体は冷えきっていた。教室の中も古い木造校舎のためガラス窓の隙間から外の雪が吹き込み寒かった。

それからストーブ当番なる者が石炭をくべて火をつけるわけだが、石炭が雪で濡れていたりするとなかなか火がつかず皆でいらいらすることも多かった。このように私にとって雪の思い出は良くない。

また私の家は新潟地震で傾いてしまったので土台上げをして直したのだが家の随所に隙間が増えてしまった。そのせいもあってか冬でも湿気が多く不快だった。
ストーブをたいてピアノの蓋を開けると鍵盤の上に水蒸気の膜ができてしまうほどだった。

除湿器をつけるとあっという間にタンクは満タンになり寝る時に布団に入ると湿っぽくて体温で暖まるまでずっと我慢しなければならなかった。

隣に住んでいた森さんという老夫婦は健康上の理由でもっと気候の温暖な静岡に越して行かれた。この時、子供心にそんな気候の土地で暮らせたらと羨ましく思ったのを覚えている。

上京して数日後、新潟から私愛用のピアノが届いたのだが中に張ってあるピアノ線の表面は長年の湿気で錆びていた。それまで楽器に対する感情など意識したことがなかったが初めて人間同様に可哀想だという気持ちになった。
誰にとっても湿気は不快なものだが私は人一倍嫌いなのである。

冒頭18歳の感想に戻るが三国トンネルを抜けたばかりの旧「特急とき号」の車窓に広がる景色への感動は忘れられない。

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両校ともすぐ裏が海という環境・・・・とありますが、某国に拉致されなくて良かったとつくづく思う。この頃よく一人で海に泳ぎに行ったものです。あ~~コワ

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