二年越しの演奏
2005年12月31日、とある六本木の老舗ジャズクラブ(といっても今や半分ハワイアンの店と化した)にて仕事をした。いわゆる「カウントダウン・パーティー」ライブである。
メンバーは光井章夫(Tp&Vo)を親方に根市タカオ(B)・渡辺毅(Ds)そして私(P)という日頃よく一緒に演奏する顔ぶれであるが、なんたって2005年大晦日から2006年元旦まで二年越しで一緒に演奏したことになるわけであります。
しかしステージの上じゃ、お互い「明けましておめでとうございます」なんて言ってる場合じゃないのだ。
12月31日の午後11時58分ぐらいに演奏を一旦終わらせるために腕時計と睨めっこしながら演奏するのはスリル満点。この時間計算に失敗して年が明けてしまったなんて話はよくある。(調子に乗って演奏していると時計を見るのを忘れてしまうのだ)
その後、店の電話の受話器より流れるNTTの時報をマイクで拾い流す。
客も我々も固唾を飲んでその時報に耳を傾ける。「午前0時丁度をお知らせします・ピッ・ピッ・ピッ・パー」その瞬間クラッカーがパパン!パーン!と鳴り響きシャンパングラスがガチャーン、「ハッピー・ニュー・イヤー!」なんて言葉が飛び交う中、「年の始めの 例( ためし)とて、 終(おわり)なき世の めでたさを、 ~」なる一月一日という曲を演奏するわけだ。
しかし、ここで事故は起きた。童謡には似たメロディーが多いのである。
「一月一日」の後半「松竹(まつたけ)たてて 門ごとに 祝(いお)う今日(きょう)こそ 楽しけれ」のメロディーを光井さんが「お手々つないで、みな帰ろう、カラスと一緒に帰りましょう」のメロディー、すなわち「夕焼け小焼け」に行きかかってしまったのだ。
ワタクシは長年の感で光井さんの脱線を予知していたので即座に正しいメロディーを弾いて修正したのであります。正月早々、脱線を免れた愉快な仲間達でありました。
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