音の底にあるもの
私のお気に入りのライブハウスであるジャズバー・エムズに御年83歳のトロンボニスト河辺浩市さんが楽器を持ってよく遊びに来てくれる。「家でドレミを吹いてたってしょうがないから一緒に吹かせてよ」ってな感じでお店に入って来るわけだ。
私も最近あまり演奏してなかった古い名曲達に再会したり、うろ覚えになってる曲を再確認できたりしてスタンダード愛好家としては嬉しい時間だ。
先日、9月に息子(小林桂)と私が二人で行ったコンサートに来ていた女性のお客さんが二人で息子のCDに私のサインも書いて欲しいとの事でエムズに来てくれた。
その日も河辺さんが一緒に演奏してくれていたのだが恐らくそのお客さん達は河辺さんの演奏を聴くのは初めてだろうし、彼を知らなかったかもしれない。
河辺さん自身としては歯の調子が悪く、思うようにコントロールが出来ないとの事。確かに吹きにくそうな感じは伝わって来るのだが83歳まで吹き続けてきた人の出す音の底にある「音の魂」のようなものは一緒に演奏している我々だけでなく聴いてる人達にも伝わるのだと感じる。
今は亡きボーカリストのマキシン・サリバンが来日したとき、若いボーカリストにアドバイスとして一言「とにかく歌い続けなさい」と言っていた。そして彼女は死ぬまで歌い続けた。河辺さんの吹き続ける姿勢とマキシンの言葉が重なる。しかしこれは誰にでも出来る事ではなく選ばれた人が出来る事だと思う。
じゃあ、ワタクシは・・・・・・無理だろうな・・・・と日記には書いておこう。
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