トンネルを抜けると雪国ではなかった
2001年5月18日付の新潟日報紙に書いた記事から抜粋。
川端康成の小説とは逆に、「トンネルを抜けると、今までの雪景色がまるで嘘のような、乾いた茶色の山肌と一面の落葉だった」というのが、十八歳で上京した日の感想だ。(中略)
ストーブをたいてピアノのふたを開けると、鍵盤の上に水蒸気の膜ができてしまうほどだった。
除湿機のタンクは、あっという間に満タンになり、寝るときに布団に入ると、湿っぽくて体温で暖まるまで我慢しなければならなかった。(中略)
上京して数日後、新潟から愛用のピアノが届いたのだが、中に張ってあるピアノ線の表面は、長年の湿気でさびていた。
それまで楽器に対する感情など意識したことがなかったが、初めて人間同様に可哀そうだという気持ちになった。(後略)
このピアノは私が中学の終わりころに親から買ってもらったものだが現在も近所のスタジオで生きてるのだ。
先日久しぶりにこのピアノに会いに行ってきたのだが象牙の鍵盤は人工のものに変わっていたがいい音を響かせてくれていた。
このピアノがあって今の私があるのだ。与えてくれた親に感謝。そして何十年もメンテナンスを怠らず管理してくれてるKonita君に感謝。
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